第二創業期を迎えるNEC「PLMシステムグループ」の組織課題と、miitに期待したことは? 〜 マネージャーと若手の視点から【前半】

第二創業期を迎えるNEC「PLMシステムグループ」の組織課題と、miitに期待したことは? 〜 マネージャーと若手の視点から【前半】

(写真は右から、高田さん、府金さん、林さん、木下さん、紅野さん

明治32年創業の電機メーカーで、売上年間約3兆円、全世界に約12万人の従業員を抱える日本電気株式会社(通称:NEC)。その中の製造システム統括部PLMシステムグループにて、2022年10月〜11月に「miit」を導入いただき、セッションを実施しました。

今回のセッションには、これからのPLMシステムグループを引っ張っていく若手メンバー6名が参加。

インタビューの前半では、もともと抱いていた組織の課題感miit導入のきっかけや期待したことなどを、PLMシステムグループ統括のディレクターの高田豊さん、プロジェクトマネージャーの木下昌知さん、同じくプロジェクトマネージャーの紅野佑介さんに伺いました。

インタビューの後半では、実際に「miit」のセッションに参加した紅野佑介さん、府金育美さん、林佑樹さんを中心にお話をお伺いしました。

インタビュー後半はこちら

NEC「PLMシステムグループ」の次世代をリードする若手にインタビュー。miitの写真心理学体験は、実際どうだった?【後半】

– 事業内容について

>>まず初めに、NEC「PLMシステムグループ」では、どんな事業を行っているか教えてください。

高田: 

製造業様向けの、PLM(Product Lifecycle Management)パッケージソフト「Obbligato(オブリガート)」の開発・提供をしています。産業機械や自動車部品などのものづくり製造業のお客様を中心に、消費財や化粧品メーカー、建設・住宅など、多分野に渡るメーカーや製造に関わる企業へ向けてソフトを導入させてもらっています。

製造業様は、みんな設計図からものづくりをされるわけですが、その製品の企画・設計・生産・販売・廃棄までの一連の工程をマネジメントするシステムです。

27年間、国内トップシェアを誇る人気ソフトで、世界でもトップ10(※注1)入りしています。色々な分野に幅を広げることで、現在もシェアを広げている製品なんですよ。
現在、約10名3つのチーム、総勢30名体制の部署です。

※注1:ランキングの詳細:NECのPLMソフト「Obbligato」がGartner® Market Guide for PLM Software in Discrete Manufacturing Industriesに掲載

 

– 組織の課題意識について

>>もともと、PLMシステムグループの組織づくりやエンゲージメントについては、課題をお持ちでしたか?
木下: 

クライアント毎に担当がついてソフトのカスタマイズや導入を支援するので、同じ部署なのに「個人商店化」しやすく、メンバー同士の連携が足りていない状況でした。
私はこの「Obbligato」に、1999年から携わっています。私のように長く居れば、もちろん色々なメンバーと接点を持つ機会もあり、それぞれのパーソナリティも見えてくるのですが。

高田:
コロナ以前から、その課題はありました。上司からは「グループメンバーが、みんなツブツブだね」という表現でよく指摘されていたんです。みんな個人で動いているから、報告会の資料も進め方もチームによって全然違う。必要な情報共有が出来ていないのではないかと。ただ、チームで情報共有するような朝会や定例会は開いており、それなりに報告も上がってくるのに、なぜだろうと。
コロナでリモートワークになり、ますますこの課題に向き合う必要性を感じていたし、打破したい気持ちでした

製造システム統括部 ディレクター PLMシステムグループ統括:高田豊さん

紅野:
そうですね。これまではベテラン勢が、お客様の要望をもとに開発やシステム導入を重ねてきたわけですが、20〜30年経つうちに、どうしても属人的になっていき、それらの技術が若手に継承されていない現状を感じています。

高田:
そんな状況を打破するために、部内にタスクフォースという有志の小集団活動を立ち上げました。
これまで属人的で汎用性のなかった資料やシステム導入プロセスを標準化し、さらに今後の事業展開や事業戦略も担う、とても重要な投資的活動です。4つのチームに分け、その統括を紅野さんにお願いしているんです。

紅野:
タスクフォースのミッションは、まずは、これまで顧客毎に「ハツモノ」という概念で開発していたプロダクトを統合していくこと。次に、改めてお客様への提供価値を見直し、形式知化できる部分を見極め、それを起点にしたビジネスモデル開発をすること。更に、今まで以上に若手が活躍していけるように人材育成の仕組みを構築することです。

製造システム統括部 プロジェクトマネージャーで、タスクフォースリーダー:紅野佑介さん

各チーム、週1回定例MTGを持ち、他は各自の時間をやりくりしてもらいながらプロジェクトを進めているのですが、どうも若手は受け身気質というか。言われたことは出来るんだけど、言われる前に「こうすればいいんじゃないか」といった発案や提案ができるメンバーの割合が少ないように感じています。

ベテラン勢もピークの半分くらいが既に居なくなっていて、さらに5年、10年と経った時に、これで大丈夫か?というのが本音です。

木下:
これまでは、うちのグループは社内でもニッチな存在で、社内異動で人が抜けていってしまうけど、入ってくる人がいないという組織でした(笑)
最近では、会社がPLM事業Obbligatoは今後の社の戦略としても重要な事業であるというメッセージを発信し始めて、転職者や新人が入ってくるなど大分雰囲気がよくなっています。この波は、絶対に逃せないですよね。

紅野:
そうなんですよ! PLMって、例えばAIや5G、顔認証といった、今流行りの技術ではないので、若手は外部からのモチベーションを感じづらかったんですよね。

高田:
仕事の中でも、お客様から「あぁして、こうして」という要望を聞いたり、「ここはどうなってるんだ!」と怒られることはあっても、褒められることは少ないしなぁ。

紅野:
専業主婦が感じやすい感覚と似ているかもしれませんね。特に目新しい仕事でもなく、しかも仕事だからやって当たり前という評価を受け、特に感謝されることもなく。

一同 :(シーーーーーン)

– miit導入のきっかけ

>>まさに、事業の第二創業期的な時期にいらっしゃる様子がよく分かりました。そんな組織状況の中で、どんな意思決定や期待があってmiitを導入くださったのでしょうか?一番最初のきっかけは、「ワークスタイリング(※注2)」で実施させてもらった写真心理学のセミナーに、木下さんがご参加くださったことでした。

※注2:ワークスタイリング(三井不動産が運営する法人限定のコワーキングスペース)

木下:
写真心理学セミナーでは、いい意味で、裏切られました。
2020年の秋にチームのエンゲージメントが下がった時期があって、それ以降は相当数のコミュニケーション系、自己啓発系のイベントに参加しています。コロナ禍においては、毎週何かしらのイベントに参加していたんですよ。

そんな中で、「写真を撮って出すだけで、こんなにコミュニケーションを深められるんだ!」「自分の気持ちを、すごく素直に喋れる!」というのが驚きでした。

製造システム統括部 プロジェクトマネージャー:木下昌知さん

セミナーでは、全く知らない人同士でも素直に話せたし、写真心理学の評価はとても素直に聞けたんです。しかも、自分にも、相手にも、ポジティブな評価しか起こらない。

通常は、セミナー講師の言葉に対して「それってどうなのかな?」と構えてしまうんです。「何を期待されてるのかな?」と先回りするクセもついています。だけど、写真を通してだと、素直に自分をさらけだして、素直に話して気持ちよくなれるし、短時間で、参加者みなさんと心が通じる体験ができました。

ハードルが低いし、やることに対する効果が劇的だったんです。
そこで、すぐに高田さんにトライアル(※注3)を提案しました。

※注3:miitでは、4名様90分無料のトライアルセッションをご用意しています

高田:
興奮した木下さんから、すぐにチャットで「トライアルやらない?」と誘われて、miitの紹介資料が送られてきたんです。ただ、見ただけだと、写真とコミュニケーションがどう繋がるのかが全然分からない。半信半疑でしたが、紹介されたのでやってみるか、という感じでしたね(笑)

木下:
自分では、言語化が得意な方だと思ってたけど、申し訳ないけど、これは言語化が難しかったですね(笑)

>>トライアルセッションは、高田さん、木下さん、紅野さんと、本日のインタビューには参加されてない杉山佳香さんの4名で実施させていただきましたね。あの時の効果はどの様に感じていらっしゃいますか?

木下:
特に、杉山さんから紅野さんに対する見方が劇的に変わっていましたよね。これまで長く一緒に仕事していたのにも関わらず「えーーー!こんな人だったの!?」という大発見が起こっていました。

「紅野さんって、こんな人だったの!?」という感想を生み出した写真がこちら。(紅野さんの写真)
実はバックパッカーだということが判明した、杉山さんの写真。話題になった一枚。

高田:
やってみて、私自身でも「あぁ、なるほど!」と感じて、トライアル後に本導入を決めました。まずは、これからのグループを引っ張ってくれる若手同士の連携を深めたかったのと、アンテナ力や課題発見力といった、創造性の発揮、さらなる向上にも期待していました。

元々は3DCADが専門だった高田さん。お写真も3D感が満載です。

そこで、若手管理職であり、タスクフォースの取りまとめをしている紅野さんに声をかけて、4つあるタスクフォースのチームリーダー各1名と、今後のObbligatoビジネス改革に密接に関係する別グループのタスクフォースのリーダー1名、そして紅野さんの6名で実施しました。

木下:
「若手で、今後の事業をリードしていくメンバーを活性化したいよね」「よりクリエイティブに、より自発的になってもらいたいよね」というようなことを話しましたね。

 

– miitに期待した効果

>>プログラムの打ち合わせでは、「とにかく楽しい雰囲気を大切にしたい」とおっしゃっていたことが印象的でした。「楽しい」にはどんな意味が込められているのでしょうか?

紅野:
私が初めに「miit」のことを聞いたときは、テーマが「写真心理学」ということにとても興味を持ちました。

本導入の際に、他メンバーへの声掛けを私からしたのですが、普通の研修だと「え、何するの?1日とか、2日とか時間を割いて、しんどいことをやらないといけないんでしょ」って思われそうなんですが、miitはその点は心配ありませんでした(笑)

「研修」っていうほど堅苦しくもなく、しかも受けた結果、新しい気付きがあったり、前を向くきっかけになるものというイメージです。

木下:
楽しみながら、かつ学びがあるというのが、良い点ですよね。こういったことを、就業時間内に実施するというのが大切だと思うんです。若手へのメッセージにもなります。

出張の度に、飛行機や新幹線から富士山を撮影するという木下さんの写真

>>先程、木下さんから「写真心理学から、ポジティブなフィードバックをもらえた」という発言もいただきましたが、写真心理学診断は一つのフレームで、特別「ポジティブなことを言おう」「褒めよう」という意図は持っていません。

ただし、皆さんのように課題解決型の事業に日々向き合い、お客様からのネガティブなフィードバックに向き合い「マイナスからゼロ」の過程に向き合ってると、知らない間に自己評価や自己肯定感を下げてしまうのかもしれません。

写真は、一つのクリエイティブで「プラス」の行為なんです。少なくとも、課題解決はしていません。そんな、自らの創造物である「プラス」を、評価されることで、ご自身の内面性や創造性に、ポジティブな目を向けることになっているのかもしれませんね。

木下:
そう!みんな自己肯定感、低いんですよ!特に、30代から下の世代のメンバーに感じます。
面談でも、「私、頑張ったこと、ありましたっけ?」みたいな反応だから、「いや、こんな風に頑張っていたよね?それはアピールしてもいいんじゃないの?」って思わず助け舟を出す感じなんですよ。

役員前での事業審査でも、はっきりと期待値や目標設定を言葉で伝えられます。真面目な気質の人が多い中で「ちゃんと達成しよう」「頑張ろう」という気持ちと共に、「自分は出来ていない」「今の自分ってこんなものだ」という自己認識をしやすいのかもしれません。

紅野:
「俺、いけてるぜ!」っていうキャラは、少なくともうちの部署には見当たらないですかね(笑)
自己評価が低いだけではなく、自己アピールが苦手な人も多いかもしれません。

高田:
逆にみんな、「こうあるべき」という理想は高いのかな。
全社の行動バリュー(※注4)の一つに、「心は情熱的、自らやり遂げるように」というのがあるのですが、若手にはみんな主体的に、かつ自信を持って、取り組んでいってもらえるようにしたいですね。

毎年、行動バリューに対する自己評価と、上司からのフィードバック面談を実施するのですが、そんな場でも変化が見られるようになったらと思います。

※注4:NECの行動バリューは、「NEC Way」内の「Code of Values」からご覧になれます。