ITのリーディングカンパニーとして、キャッシュレス決済や産業・公共を支えるサービスを担うTIS株式会社。2020年12月、同社の3つの事業部に当社の「写真ワーク」の1dayプログラムを導入していただきました。プログラム導入前に感じていた組織への課題、プログラムを経て起こった組織内の変化についてお伺いしました。
インタビューさせていただいた方
TIS株式会社 DXビジネスユニット ペイメントサービスユニット ペイメントサービス第1部 主査 吉田 拓郎 様
TIS株式会社 DXビジネスユニット クレジットサービスユニット クレジットサービス第2部 主査 川野 いずみ 様
「写真ワーク」を実施する前に、組織に感じていた課題を教えてください。
川野: 弊社は、金融、製造、流通などの3,000以上のパートナー企業に対して「IT」を通じたサポートをする仕事をしています。主に、金融・決済部門が強みであり、私も吉田もその分野に関わっています。当社は全国にいくつか事業所があり、普段私は大阪、吉田は東京で仕事をしています。仕事では事業所間の連携が必要な業務が多いのですが、直接顔を合わせずに業務を進めなければいけないという状況で、やりとりするチームメンバーの人間性がわからないことから起こるコミュニケーションの不安や小さな不満があることを組織の課題と捉えていました。
実際チームメンバー同士、メールではしょっちゅうやりとりはしているものの会ったことがなく顔も知らないという人が多かったんです。何も知らない人と文字だけのやりとりが、メンバーにとってもストレスになっていました。
吉田: 信頼関係の基礎になる「人と人としての付き合いが薄いこと」は課題でした。弊社では現在約7割がリモート勤務ということもあり、同じプロジェクトでも仕事の話しかしない、雑談は一部の特定の人同士ということになりがちです。また、出社してもフリーアドレスで席が決まっていないために、新たに関係性を作るのが非常に難しくなっている仕事環境の影響もあるのだと思います。若手が「出社しても、知らない人だらけ。カフェで仕事しているのと同じ」と言っていたのも印象的でしたね。
当社のサービスを知ったきっかけは何だったのでしょうか。
吉田: 友人がナムフォトのサービス「miit」をSNSでシェアしていたのを見たことがきっかけでした。話を聞く際に、別チームで同じ仕事を進めていた川野さんにも声をかけたのですが、川野さんが「これは絶対チームの状況にちょうどいいはず!」と私より前のめりにプログラムに興味津々で(笑)。
川野: オンラインで仕事を進める状況でも「写真ワーク」を導入したら、少しでもそれぞれの人のキャラクターが分かって話がしやすくなるんじゃないかという風に期待したんです。
吉田: 普段は「ZOOM上でカメラオフにして会議に参加する」ケースが多く、「顔を見たことがない人」とやりとりをしていることも増えてきたので、お互いのことをより知ることができるオリジナルの写真ワークプログラムを提案頂きました。
導入したプログラム内容と、参加した方の感想について教えてください。
川野: プログラムは、吉田の部門と部門を横断して同じ仕事を一緒に進めている私のチームともう一チームを対象にして3チーム合同で開催しました。
吉田: プログラム内容は、1回あたり60分のオンラインプログラム「写真ワーク」を2回実施し、全76名が参加しました。
内容は、「写真×インタビューワークでオンライン交流会!」と題して、前半は座学として写真についての解説や撮り方のポイントなどを楢さん(当日ワークショップを担当した写真心理学家)から説明いただきました。後半では実習として、参加者を4名グループに分けてインタビューワークを実施しました。事前に用意されたプロフィールシートと質問シートをもとに、一人が自分のことを話し、他のメンバーは質問をしながら、話しているメンバーの「プロフィール写真撮影」にもチャレンジしてもらいました。
▲「写真ワーク」のプログラム終了後に記念撮影を実施!
プログラムを終えて、感じられた組織や個人の変化はありますか。
吉田: 東京×大阪のメンバーで実施できたのが良かったですね。実際に「写真ワークショップでたった30分程度喋っただけなのに、仕事がとてもやりやすくなりました!」との声が多かったです。
川野: 「写真ワーク」のプログラムを実施したのは2020年の12月でしたが、半年ほど経ったつい最近も1on1などの場面で「写真ワークが良かった」と伝えてくれるメンバーがちらほらいるくらいです。「関係性が良くなることにより仕事が進めやすくなった」と言われて、導入した私自身もすごく嬉しかったです。たった1時間の効果は、期待以上でした。
吉田: 川野さんチームのメンバーは「東京の仕事を大阪に移管したプロジェクト」に携わられていて、大阪メンバーの方が東京メンバーに聞きたいことや、コミュニケーションで困っている場面が多そうですね。
川野: ある種、片想いしているみたいなね(笑)。また、とあるメンバーは「『写真ワーク』の質問をきっかけに、自分自身を理解することにつながりました。自分のことを考える良い機会でした」とも言ってくれました。チームのコミュニケーションだけでなく、メンバーの自己理解という点でも効果を発揮したのがプログラムのさらに良かった点だと思います。
【アンケートの結果】
「写真ワーク」終了後のアンケート結果では、参加者の88%の方が選択式の項目で「普段あまり話さない人と話ができてよかった」と回答しました。
自由記述では「業務ではメールやzoomでのやりとりに留まることが多く、このプログラムをきっかけに会話できて良かった」といったコメントなど、コミュニケーションの時間を持ち、お互いへの理解が及んだことを有意義に感じている声が目立ちました。
▼参加者の感想(一部抜粋)
「顔も名前もよく知ってるけど、これまで挨拶くらいしかしたことがない人としっかりと会話ができて楽しかったです。」
「ほとんど顔もわからない状態だったので、お話したりお顔を拝見できてよかったです。」
「テレワーク下でも親睦を深められたのは良かったと思います。」
「とってもいい企画だと思いました!このような企画はどんどんやった方がいいと思っています。」
「普段業務でやりとりしているけど顔も分からない人のパーソナリティが知れて良かったです。」
「写真ワーク」実施後、miitのトライアルセッションもお試しいただきましたが、その感想も教えてください。
吉田: miitのトライアルセッションでは、1人3枚の写真を準備して6人がグループで対話したのですが、たった60分ほどの対話でこんなに!?と思えるほど、メンバーのことを知ることができました。セッション内では各自が持ってきた写真から読み取れる個人の創造性について写真心理学診断の解説をしてもらったのですが、想定以上にそれぞれの人間性を当てていて驚きました。社員同士で写真を3枚出して見せ合っても、あれほど本質に迫るコメントできないと思います(笑)。
川野: とある人は風景写真が多かったのですが、その撮り方やエピソードから「人の支援が好き」といったその人が大切にしているポイントが感じられました。
吉田: 業務上ではいつも理路整然とした上司の家族写真を見て、とても驚いたり(笑)。「こんなに温かい情を持った人なんだな」って(笑)。
川野: 私も(笑)。数年来の付き合いがあり、もう十分相手のことを知っていると思っていた人ですら、新たな発見がありましたね。
「miit」はどのような組織やチームに向いていると思いますか?
川野: どんなチーム、どんなフェーズでも導入できるプログラムだと思います。あえて挙げるのであれば、弊社のようにリモートワークが基本の働き方でなかなか会う機会が少なかったり、仕事以外の雑談が少ない組織には特に効果があるかもしれません。プログラムを行うとその後からスムーズに仕事が進められるようになるので、チームビルディング初期などの「キックオフの宴会」のような位置付けでプログラムを導入できると効果的だと思います。
「miit」がチームビルディング以外にも活用できると思う点はありますか。
吉田: 写真を通じたプログラムは、サービスのイノベーションを起こすという点でも可能性を感じています。当社は世の中に対して新しいサービスを開発してお客様に届けるということがミッションで、多様な人の色々な意見を取り入れてイノベーションを起こす必要があります。そこには多くの人の視点、「多様性」が必要なんですよね。
私の部門には100人のメンバーがいるので実際には多様な人が「いる」状態なのですが、全然知りきれないでいるのが現状です。プログラムを通してメンバーの「多様性」を深堀りできると思います。多様性を認めることが価値を生み出す組織に対してはさらに効果的ですし、新しい事業の可能性もこういったところから生まれるのではないかなと思います。